【ヌバック・スエード革登山靴】質感を損なわずにメンテナンスをする方法を探求する3

登山, 登山靴, メンテナンス,

La SPORTIVA NEPAL EVO GTX

の使用前のメンテナンスを行う。
第一回目で選定したしたコロニルのアイテムたちを使って今回の最終目的である
La SPORTIVA NEPAL EVO GTXのメンテナンスを行う。
今回は新品ブーツの使い始めの表面処理である。
道具はしっかり手入れをしてこそ性能を発揮してくれる。
メンテナンスをする方法を探求する2とほぼ同等であるが洗浄工程をスキップしている。
使用後のメンテナンスを行う場合はメンテナンスをする方法を探求する2の工程1と工程2を参照してほしい。
メンテナンスを含めたマトメはまた次回作業時にまとめたい。

La SPORTIVA NEPAL EVO GTXメンズモデル

La SPORTIVA NEPAL EVO GTXレディースモデル

製靴時の木型形状がメンズモデルとレディースモデルで若干違うらしい。
外観は黄色と薄緑である。どちらも汚れの目立つ厄介な色である。

このブーツ、実際にメンテナンスをして分かったことなのだが
仕上げにおいて非常に厄介な点が2点ほどある。次の写真を参照してほしい。

①焼き印かと思ったらインクだった
②ラバーから黒い粉がめっちゃ出る
この①②のおかげでケミカル品を塗布していくと
革に黒色が移って色がくすんでしまう。
ワックスで「LA SPORTIVA」のロゴから黒いインクが溶け出すのである。
この罠には思わず笑ってしまった。せっかく鮮やかな黄色なのに!
履いてれば黒くなるので気にしなくても良いのだが。。。

今回はメンズモデルでこのことが発覚し、レディースモデルの手入れ時に若干の対策を行ったので
その点もまとめておく。黒ずみはかなり軽減された。

では実際に作業に入っていく。


スポンサーリンク


 

必要機材と材料

ケミカル類

基本的に第一回で選定したしたコロニルのアイテムたちでメンテナンスを行う

レザージェル(革に浸透して内部の防水撥水性能を高める)
ヌバック+テキスタイルローション(浸透して撥水効果と保革成分を与える)
レザーワックス(表面にワックス層を形成して革の表皮の強化を行う)
防水スプレー ナノプロ(表面に撥水層を形成する)

必要機材

靴ブラシ(豚毛などが良い)
スエードブラシ(柔らかい金属製ブラシ。ヌバックの毛並みを調える)

起毛革を生かした仕上げをするので磨き上げクロスは今回は使用しない。

では作業に入る。


作業工程

モンベルのツオロミーブーツメンテナンスとの大きな違いは
作業の中心はブラシで伸ばすのではなく手で塗り広げていき最後に細部をブラシで仕上げる
この点を気を付ければきれいに仕上がる。

[工程1]レザージェルを革材料表面に入れていく

La SPORTIVA NEPAL EVO GTXは表皮がかなり起毛している&前出の罠2つのため
ブラシを多用すると黒ずみが発生する確率が上がる。
そのため雑に塗ってブラシで伸ばすのではなく指で可能な限り塗り込んでいく。

指で塗れる部分はどんどん手の指で塗り広げてほしい。
そうすれば「La SPORTIVA」ロゴのインクを広げずに済む。
手で塗り広げて、金具部分&テキスタイルと革の境界をブラシで塗り込んでいく。
早速色味はオレンジ色っぽくなってきた。

ブラシで細部までなじませよう。


[工程2]ヌバック+テキスタイルローションをしみ込ませていく

革部分およびテキスタイル部分にどんどんしみこませていく。
初回なので吸わなくなる程度を目指して塗布しても良い。
今回はかなりたっぷりと塗布した。

結構しっとりしてきたのでいったんここで30分程度乾燥時間を置いた。

今日は猫は眠っている。平和である。


[工程3]レザーワックスで表面に保護層を形成する

今回メンズモデルで革面に黒ずみを発生させてしまった魔の工程である。
基本的な作業手順としては
モンベルのツオロミーブーツでは「雑に塗ってブラシで伸ばす」であったが
今回は
「ワックスを少量手に取って、体温で溶かしてから塗布する」
としたところ、それなりにうまくいった。実作業の動画を参照してほしい。
動画はLa SPORTIVA NEPAL EVO GTXレディースモデルである。

これでもロゴ部分のインクが溶け出ているのがわかると思う。
ブラシで塗り広げるともう。。。。。。。
塗り込みが終わったら細部にブラシで伸ばして仕上げていく。
塗り込みはのんびりやるとムラになるので手早い作業を心がけるとうまくいくと思う。
このブーツは毛足が長いので結構遠慮なく塗っても素材間はそれほど損なわれない。
思い切ってやってみてほしい。


[工程4]ワックス含めケミカル類の浸透乾燥を待つ

下地処理はここで終わりである。
あとは乾燥してから防水スプレーを塗布したら完成。

1日~3日程度乾燥させてから防水処理を行うこととする。
メンズモデルのほうのロゴ付近とラバー付近には黒ずみを発生させてしまった。
何事も経験である。レディースモデルはきれいに仕上がった。
ワックス塗布後も起毛感はしっかり残っており、今回の目的はおおむね達成できそうである。


[工程5]防水スプレー ナノプロの塗布を行い表面に撥水層を形成する

野外で防水撥水スプレーを塗布する。
スプレーで湿った状態で日陰の太陽光で見ると
LA SPORTIVAのロゴ周辺とラバーソール周辺が黒ずんでしまったのが良くわかる。
履けばどうせ黒くはなるのだが、少々悲しい。。。
スプレーを全体に満遍なく塗布を行う。
くれぐれもスプレー材は吸い込まないように気を付けてほしい。


[工程6]スエードブラシで毛並みを調える

このスエードブラシは極細の金属ワイヤーのブラシである。
メンテナンス前に毛並みに入り込んだホコリ、チリなどをかき出したり、
ワックス塗布や摩擦などで寝てしまったヌバックの毛並みを起こして整えるのに使用する。
ヌバック部分を全体的に優しくなでていくと購入時のマットな質感がよみがえってくるはずである。
つや消しの質感を維持したいのであればそろえておくと便利なブラシである。

毛並みを調えて完成である。
初期の質感は失われずにワックス成分を塗布することができた。


[仕上がり確認]

最初の目標通りにヌバックのマット感を失わないように防水性能と
ワックス保護膜を付与するメンテナンスを行うことができた。
メンズモデルには黒ずみを発生させてしまったがマズマズの出来ではないだろうか?


まとめ

長期の縦走に出たあとやシーズン終わりなど
しっかりメンテナンスをしてまた次回に備えたい。
せっかく手に入れた良い靴の性能を維持してほしい。
防水スプレーだけのメンテナンスは卒業しよう。


 

スポンサーリンク